2013年10月9日水曜日

公民権運動の指導者ジョン・ルイス 45回目の逮捕

2013年10月8日にワシントンで、抜本的な移民法改正を求めて行われたデモで、ジョージア州選出のジョン・ルイス下院議員がほかの議員7人とともに逮捕されました。移民法改正案について審議を深めているべき連邦議会は、現在、上下院で予算案がねじれたまま、まともな機能を果たしていません。


アラバマ州生まれのルイス議員は、公民権運動のアクティビスとして知られ、逮捕や暴徒・当局による暴力にもめげずフリーダムライド(自由のための乗車運動)や「血の日曜日」と呼ばれたセルマでの行進などで指導的な役割を担いました。キング牧師の「私には夢がある」の演説で有名な1973年のワシントン大行進では、SNCC(学生非暴力調整委員会)を代表し、最年少の演説者となりました。



下院議員になってからも、アパルトヘイトに抗議してワシントンの南アフリカ大使館前で2回、ダルフールでの虐殺に抗議してスーダン大使館前で2回、逮捕されたことがあります。今回の逮捕は、通算45回目にあたるのだとか。ジョン・ルイスの人生は、公民権運動・自由を求めるアメリカの市民運動の歴史でもあります。デモクラシー・ナウ・ジャパンで、以下2本の日本語字幕付動画をご覧いただけます。(大竹秀子)



  • 米国公民権運動を20代の信念で支えたジョン・ルイス 投票権獲得の闘いを語る
  • フリーダム・ライダーズ 人種隔離バスへの抵抗
  • 2013年9月30日月曜日

    コーネル・ウェスト オバマの偽善を批判

    「オバマはウォール街の連中の座敷犬だ」と発言して以来、ホワイトハウスとの関係はぷっつりですが、2013年7月22日にデモクラシー・ナウ!に登場し、トレイボン・マーティン射殺事件裁判に関するオバマ発言を糸口に、オバマ、ひいては政権にただただ従う上・中流階級層のブラックコミュニティを批判し、公民権運動の今後の夢のありようを語っています。デモクラシー・ナウ・ジャパンにアップロードされた日本語字幕つき動画でお楽しみください。(リンクはここから)。


    マーティン・ルーサー・キング師の有名な演説「私には夢がある」の演説を生んだワシントン大行進が8月末に50周年を迎えました。アメリカはその後、どう変わったのでしょうか?キング師の夢を体現するスターとして登場したオバマ大統領。ブラックコミュニティーは支援を続けようと懸命ですが、「こんなはずでは」という声も影ではきかれます。そんな中、辛口批判の急先鋒役を買って出ているのが、コーネル・ウェスト。選挙の時には、「変革」への約束をかってオバマ支援に大活躍だった彼ですが、貧困や複雑化した差別と搾取、ドローンによる民間人の殺害、米国の覇権主義、などに手厳しい批判を浴びせています。(大竹秀子)

    2013年8月2日金曜日

    ブラックパンサー党の日系人幹部リチャード・アオキはFBIの情報屋だったのか?

    リチャード・アオキは日系アメリカ人でありながらブラックパンサー党の初代メンバー。パンサーの武装化を手助けした人物として伝説的な存在です。また1969年にはアジア系アメリカ人の活動家としてカリフォルニア州立大学バークレー校でストライキを指導しアジア系アフリカ人研究学部の設立に大きな貢献をしました。その彼がFBIの情報屋だったという疑惑が浮上し、アオキを高く評価する人々を驚愕させました。詳しくは、デモクラシー・ナウ・ジャパンの日本語字幕つき動画をご覧ください。
    右と左の写真は、バークレー校での追悼式で(photo/Tony Grier)

    実は、リチャード・アオキさんには、個人的な思い入れがあります。亡くなったというDemocracy Now!の報道を見て、はじめて彼の存在を知った2009年。やむにやまれぬ思いでバークレー校の講堂で開かれた追悼式にかけつけました。ボビー・シールやユリ・コチヤマさんが追悼の言葉を送り、全米各地からパンサーの元メンバーがやって来て会場はさながらパンサーの同窓会。人生の後半を大学でのアジア系やマイノリティの学生たちの相談や指導に捧げたアオキ。若い子たちが追悼の祭壇を作り、おいおいと泣きくずれ、師として愛され慕われた存在だったことがひしひしと伝わってきました。情報屋疑惑はともあれ、筋と意地を通した人生だったんだろうと思います。(大竹秀子)

    2013年7月24日水曜日

    ミシェル・アレグザンダーが語るトレイボン・マーティン射殺事件:ジマーマンのようなものの見方が黒人の若者を危険にさらす

    フロリダ州で17歳の黒人少年トレイボン・マーティンが自警ボランティアのジョージ・ジマーマンに射殺された事件で、無罪評決が下されました。雨の降る夕方、父親とガールフレンドが住む住宅地を訪れ、お菓子と飲み物を買いに外に出た時、フードをかぶったみかけない黒人を不審人物だとみなしたジマーマンは、通報した警察から「後を追うな」と言われたにもかかわらず追跡し、もみあいの末、もっていた銃でマーティンを射殺しました。無罪評決は大きな波紋を呼び、地元フロリダはもちろん、ニューヨークなど全米各地で評決に不満をもつ人たちのデモが行われました。
    ベストセラーThe New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness(『新たなジム・クロウ:人種差別がみえなくなった時代の大量投獄』)』)の著者、ミシェル・アレクサンダーはデモクラシーナウ!でマーティンの死を引き起こし、犯人が無罪になった偏見は米社会と米国の刑事司法制度そのものに深く根付いていると言います。
    以下、番組のエッセンスを訳してみました。(大竹秀子)

    http://democracynow.jp/dailynews/2013-07-17
    こちらも必見です、字幕付参照動画:新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄


    エイミー・グッドマン オハイオ州コロンバスからミシェル・アレグザンダーさんの声を聞きましょう。公民権運動家で弁護士、ベストセラー書The New Jim Crow:Mass Incarceration in the Age of Colorblindness.(『新たなジム・クロウ:人種差別がみえなくなった時代の大量投獄』)の著者です。ミシェル・アレグザンダーさんは、最近、次のような文を書きました。「有罪を宣告されるべきは、ジマーマン氏自身以上に、ジマーマン風なものの見方だ。黒人の男や少年を脅威以外の何ものでもなく、何の役にも立たないとみなし、誰であろうと何をしていようとだめなんだとさえ思い込む。ジマーマン的なこのようなものの見方が世界史に前例の無い刑罰制度を誕生させ、何百万もの人々をカースト以下の存在に永遠に追いやっている」

    ミシェル・アレグザンダーさん、デモクラシー・ナウに再登場、ありがとうございます。事件について大局的見地からお話しください。