2011年12月7日水曜日

速報: ムミア・アブ・ジャマール 死刑の可能性消える 仮出所なしの終身刑に

2011127日のNYタイムズ紙のウェブ版から記事
アブ・ジャマールの死刑執行断念」(By ティモシー・ウィリアムズ)を急ぎ翻訳しました。(訳:大竹秀子)


7日、フィラデルフィアの検察官は、30年前に警官殺しで有罪判決を受けた死刑囚ムミア・アブ・ジャマールの処刑執行への試みを断念することにしたと発表しました。ムミアの無実を主張する訴訟事件は、国際的な注目を浴びてきました。

フィラデルフィア地方検事のセス・ウィリアムズ氏はアブ・ジャマール氏は、仮出所の可能性なしに残りの生涯を獄中で過ごすことになると語りました。

記者会見でウィリアムズ検事は、いまもアブ・ジャマール氏の有罪を信じており、死刑執行がなされるべきだと思う、「判決は適切だった。 この被告にとって順当なものだった」 とし、この決定を「大変に難しい決断だった」と述べました。


この4月、米連邦控訴裁判所(第3巡回法廷)は、1982年のアブ・ジャマール氏の裁判の時に陪審員に与えられた指示が、誤解を招く恐れがあったことを理由に、[訳注:82年の死刑判決を失効させ、死刑か終身刑かの量刑判断のみをやり直す]審理を命じていました。 その後10月に、[訳注:フィラデルフィアの下級審での検事たちが求めていた]控訴請求を米最高裁判が却下した[ため、下級審の検事が新たな陪審員を選び、改めて死刑求刑を行わない限り、自動的に終身刑が決まる事態になっていました]。

ウィリアムズ氏は、控訴裁判所の裁定、および長年にわたってアブ・ジャマール氏の生命を救ってきたその他の裁定 を考慮して、死刑の追究を断念したと述べました。 ウィリアムズ氏は殺された警官ダニエル・フォークナー氏の未亡人モーリーン・フォークナーさんとの話し合いの後に、決断をくだしました。

ウィリアムズ検事やその他の市の高官と共に記者会見に出席したフォークナーさんは、裁判が長引きすぎたため、アブ・ジャマール氏の処刑をあきらめた、裁判は家族の健康に大きな打撃を与えたと述べました。

アブ・ジャマール氏は黒人で、フォークナー氏は白人です。アブ・ジャマール氏は198112月に、警官だったフォークナー氏が、一方通行の道を逆方向に車を走らせていたアブ・ジャマール氏の弟の車を停めた後に、同氏を射殺したとして有罪判決を受けていました。 1995 年8月と1999年12月の少なくとも2回、処刑執行日が決定されましたが、実行されませんでした。

30年間にわたる法廷とニュースメディアでの闘いで、事件は、レイシズムに基づいた誤った裁判という見方と、ありきたりの警官殺しに人種の問題が介入し処刑を邪魔立てしているという見方にわかれました。

元ブラックパンサー党のメンバーでラジオ記者だったアブ・ジャマール氏は、長年死刑囚刑務所で過ごしながら、死刑執行停止を求める「ムミアを自由に」運動の中心人物として、支持者たちにとって説得力をもつ発言を展開してきました。

アブ・ジャマール氏は本を執筆し、インタビューを受け、弁護のための資金集めを行い、何回かにわたる資金集めのイベントでは彼のために有名ミュージシャンたちが演奏を行い、判決への抗議は、世界各国に広がりました。


参考リンク:いずれもデモクラシー・ナウ・ジャパンより (日本語字幕付き動画)



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